■すべては波動エネルギー
私たちは日常生活で「仕事をした」「エネルギーを使った」といった表現をよく使います。このエネルギーとは何なのでしょうか。高等学校の物理学の教科書には、こう説明されています。
「流れる水は、水車を回転させます。すなわち、流れる水には、仕事をする能力があります。このように、物体が他の物体に仕事をする能力をもつとき、その物体は、エネルギーをもつと言います。エネルギーの量は、そのエネルギーによって行なうことのできる仕事の量で表されます」
また、こうも解説されています。
「エネルギーは、変換されても、その総和が常に一定に保たれます。これを『エネルギー保存の法則』と言います。この法則は、あらゆる現象についてあてはまり、自然界における最も基本的な法則の一つです。エネルギーは、多くの場合、ある種類のエネルギーから、別の種類のエネルギーに変換して利用されます」
次に先生は、エネルギーには位置エネルギーや運動エネルギー、電気エネルギーや熱エネルギーなど、さまざまな種類のエネルギーについて説明してくれます。エネルギー保存の法則に基づくと、たとえば地球が作り出すさまざまな形のエネルギーの大元は重力に行き着きます。この重力を使い、エネルギーを別の形に変えられるからです。石を持ち上げると、位置エネルギーが生じ、石を落とすと位置エネルギーが運動エネルギーに変わります。
また、車の運動エネルギーはガソリンから生まれますが、それは動植物の死骸が長い年月をかけて変化した燃料に元があります。その動植物は太陽からエネルギーを得ていて、その対応のエネルギーは太陽の核融合から生まれています。太陽の核融合は、ビッグバンで生まれた水素原子核(陽子)が合体してヘリウムの原子核になり、そのとき莫大なエネルギーを発生させます。つまり、身の回りにあるすべてのエネルギーは、この宇宙に元があるのです。
さらに、宇宙にあるすべての物質とエネルギーの起源は、宇宙を生み出したビッグバンにあるとも言えます。エネルギーはある形から別の形へと絶えずその姿を変えていき、そして宇宙のあらゆるものに力を与え続けています。アインシュタインは宇宙にあるあらゆるものがエネルギーだということを、有名な公式「E=mc²」で表しました。たとえば、ある人の体重一〇〇キロに光の速さの2乗を掛けると、その人の体が持つエネルギー量がわかります。人間の体には、強力な核兵器のおよそ一〇〇〇倍のエネルギーがあるという計算になります。
しかし、我々が学んできたエネルギーに対して、より本質的な視点から捉える考え方もあります。東京大学で原子力工学の博士号を持つ田坂広志氏は、二〇二二年に『死は存在しない』(光文社新書)を著し、最先端の科学として注目されている「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」を世に問いました。同著の中でこう述べています。
「現代の科学である『唯物論的科学』や『物質還元主義的科学』が立脚する『物質』という存在は、実は、極めて曖昧な存在であり、むしろ、現代の最先端科学は、この世界の本質は『物質』ではなく、『波動』であり、『エネルギー』であることを明確に示しているのである」(『死は存在しない』六〇頁)
私たちの日常生活は物質で満たされているため、本質は波動でありエネルギーであると言われてもピント来ません。では、この波動(波)とはいったい何でしょうか。私たちは、波と聞くと海岸に押し寄せる水面を伝わる波を思い浮かべます。ほかにも、音波や光波、地震波、電波など、さまざまな波があります。このように、ある場所に生じた振動が次々と周りに伝わる現象を波動と言います。
また、物理の時間に習うのは、波動のほかに電磁波があります。電磁波は、エネルギーの波長の違い、つまりスペクトルによって分類されています。電磁波のスペクトルの中で最も波長の長い低周波のものが電波で、最も波長が短い高周波のものはガンマ線です。人類にとって幸運なことに、電磁波の中でも人体に有害な紫外線の一部、Ⅹ線、ガンマ線は大気によって遮られています。
我々は、電磁波の中の可視光線の部分しか眼で捉えることができません。可視光線以外の波長域を捉える感覚器官がないとも言えます。一方、地球の大気に邪魔されずに宇宙を観測する宇宙望遠鏡は、紫外線から近赤外線までの波長域の観測を行なえます。
私たちは五感を使って現実世界の情報を捉え、それをもとに考え、判断し、行動を起こしていますが、最も頼りにしている感覚器官は視覚を司る眼です。眼が捉えているのは光です。光は角膜、水晶体、虹彩の部分を通り、網膜にある光受容体に到達し、その衝突エネルギーが電気エネルギーに変わって、電気信号が情報として脳に送られています。
視覚情報の次に私たちが頼りにしているのは、耳による聴覚や皮膚による触覚です。耳は音波イコール振動を捉えていますが、実は皮膚も振動を感知しています。味を感知する味覚も、香りを感知する嗅覚も振動による情報伝達、つまり振動エネルギーを受け取って、脳の中で世界を構築しているわけです。
このように、私たちを取り囲む外界に存在するすべての物質は常に振動しています。その振動とは、波のエネルギーであり、波動エネルギーです。そのエネルギーが伝わることで、外界を認識しています。つまり、私たちは波動によって外界を認識したり、エネルギーを発したり、受け取ったりして生きています。不思議な著書『アシュタール 宇宙の真実』にはこのように説明されています。
「あなたは今、物質世界にいます。物質があって確固たる世界のように見えますが、物質世界もエネルギーの世界なのです。物質はエネルギーを固めたものですね。だから物質は確固たるものではなく、ある意味幻のようなものなのです。そしてあなたは物質世界にいるようで、あなたの外側のエネルギー体は物質世界の外側にいます」(『アシュタール 宇宙の真実』六二頁)
私たちは物質世界で存在しているのと同時に、その外側にエネルギー体として存在しているということなのでしょう。そして、エネルギーの本質は波動だと指摘しています。宇宙の真実とは何かと問われ、こう答えています。
「すべては波動エネルギーであるということ。そして、波動エネルギーを動かすことができるのは、個性の思考エネルギーだということ。あなたもその個性のエネルギーだということ。だから、あなたが望むことは何でもできる無限の可能性と力を持っているということ。(中略)これが基本の情報です」(『アシュタール 宇宙の真実』三一五頁)。