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【疑う力・創る力】(岡田 豊)トランプ氏がテレビ局の免許剥奪の可能性示唆 「言論の自由」を威嚇 日本にも火の粉が…

「彼らは基本的に私に悪い報道しかしない。彼らが持つ放送免許は取り上げられるべきではないかと思う」。アメリカのトランプ大統領は9月18日、記者団にこう発言しました。自身に敵対的だと判断したテレビ局について、放送免許を剥奪する可能性を示唆したのです。テレビ局の番組は自分を攻撃ばかりする野党・民主党の手先だと非難しています。今回の発言は、トランプ氏を強く支持してきたアメリカの保守系活動家カーク氏の射殺事件をめぐり、ABCテレビの人気番組の司会者がトランプ氏の支持者を批判して、当局から批判を受け、番組が無期限の休止を強いられた事態を受けた流れで出ました。言論の自由のいわば“盟主”だったアメリカが大きく変質してしまうかもしれません。トランプ氏が放ったこの発言に強い危機感を覚えます。

 トランプ大統領は9月、有力紙ニューヨーク・タイムズに名誉を毀損されたなどとして、約2兆2000億円の損害賠償を求めて提訴しました。「ニューヨーク・タイムズは長年、自由に嘘をつき、私を誹謗中傷し、名誉を毀損することを許されてきた」「ニューヨーク・タイムズは、極左民主党の事実上の代弁者になった」。トランプ氏はこう主張します。この損害賠償額は、ニューヨーク・タイムズの時価総額を上回る規模。万が一、満額が認められれば、ニューヨーク・タイムズの経営は行き詰まることになります。これもトランプ流の脅しなのでしょう。


 トランプ政権の大手メディアに対する圧力はエスカレートし、言論の自由を侵害するという懸念が広がっています。これは何もアメリカだけの話にとどまりません。アメリカの新聞やテレビが自由にモノを言えず、的確な批評を報じられなくなれば、日本をはじめ世界各国に直接的なダメージが広がります。ましてや、事実がトランプ氏の思うように捻じ曲げられるようなことがあれば、世界は、これまで以上にフェイクであふれ返ることになります。

 日本の権力者たちが、いずれトランプ氏のような暴言を吐く事態が現実のものにならないとも限りません。日本の衰退がこのまま進めば、日本人の貧困の度合いは増すと私は予想します。国民経済が行き詰まる時、権力者たちが取る常套手段は、言論の統制です。戦時中、新聞は統制に呑まれ、国民に嘘を垂れ流し続けました。事実を知り得ず、言いたいこと、言うべきことが言えない社会は、市民にとって不幸極まりない暗黒の世界です。

言論の自由とは、大手メディアの問題ではなく、突き詰めれば、市民一人ひとりの問題にほかなりません。私たち市民一人ひとりが感度を高め、つぶさに事実を拾い、確固たる覚悟で批評を発信し続けなければなりません。自身のため、公益のために、社会のために、黙ることなく、言うべきことを自由に言える社会のままでありたいと切に願います。市民一人ひとりの覚悟と知恵が試される時が近づいていると思います。

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