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【疑う力・創る力】(岡田 豊)国家再建に本気になったトランプ政権 日本の役割は…

世界を揺さぶるトランプ政権の目的は何なのでしょうか。シンプルに見てみると、巨額の財政赤字に苦しむアメリカが、財政破綻状態に陥るのを回避することが狙いの1つなのだろうと考えます。無謀、愚策とも評されるトランプ政権の高関税政策は、巨額の貿易赤字を減らし、財政悪化に歯止めをかける狙いがあるのでしょう。貿易赤字の額が減るよう円などの通貨に対するドル安も志向しています。

「相互関税」の発動後、アメリカ国債が売られ、その金利が上昇しました。国債の金利上昇は利払い費を増加させ、財政を悪化させます。4月9日、トランプ政権が「相互関税」の上乗せ部分について90日間の停止を決めたのは、1つは国債の金利上昇を懸念したからです。
 
イーロン・マスク氏に委ねた政府効率化省(DOGE)が進める政府職員の削減や、人道支援を担った国際開発庁(USAID)の閉鎖などにも、財政を何とかしようという意向が反映しています。他にも、100年という異例の長い期間の国債を発行して、各国などに買い替えをさせる試案もあるようです。この「100年国債」をめぐっては事実上、借金の「先送り」「踏み倒し」にならないかといった批判もつきまといます。
 
ここで、あえて肯定的に捉えれば、トランプ政権は国の再建に本気になったということです。万が一、アメリカの財政が破綻状態に陥ったら、アメリカ国債を購入している日本など各国や金融市場に大きな影響を及ぼします。財政再建に本腰をあげたトランプ政権は「まっとう」と言えるかもしれません。実は、アメリカは悲鳴をあげているのだと考えることがあります。「アメリカは限界が近づいているので、みなさん、どうか力を貸してください」。私には、トランプ大統領がこう懇願しているようにも見えます。覇権大国だったプライドは、もうそこにはないのかもしれません。

ひるがえって、日本です。トランプショック、参院選前。こうした状況下で、与野党の国会議員たちは、現金給付や減税を検討しています。困窮極まった国民には支援が必要です。しかし、単なるバラマキや減税は財政を悪化させます。「新たな産業を創出しよう」「未来を切り拓く国家構想を創ろう」といった声は出てきません。思考が止まったままです。「国難とも称すべき事態」(石破茂首相)でありながら、これが今の日本人のレベルです。

言うまでもなく、日本の国家財政はアメリカより悪い状況で、着実に破綻状態に向かっています。日本も本気で財政再建に立ち上がり、自立した国家を創り直そうとしなければ、いわば狂気と化したアメリカに呑み込まれてしまいます。

ただ、日本だけうまく立ち回れればいいということではないのだろうと思います。トランプ政権が狭隘な自国第一主義で、自由貿易分野などの国際秩序を壊そうとするならば、それに代わる、多くの国々が参画できる新たな国際秩序を追求する時なのではないでしょうか。日米同盟の再構築を模索しながら、その新たな国際秩序の創生を日本がリードできないものでしょうか。日本人の英知が試されています。(2025年4月)

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