「アメリカとの経済関係の深化や、緊密な安全保障・軍事協力に基づくこれまでの関係は終わった」。自国ファースト、自分ファーストで邁進するアメリカのトランプ大統領に対して、3月27日、同盟国カナダのカーニー首相が吐いた言葉です。その通りかもしれません。「世界のリーダー」と言われたアメリカは、もう過去の存在です。アメリカを取り巻く世界秩序は、すでに大きく変わった。私たちは、こうした自覚を持つフェーズに入ったのだと思います。
「同盟国は買いたがっているが、性能を10%ほど落として売りたい。同盟国は、いつか同盟国ではなくなるかもしれないから」。アメリカの次世代戦闘機「F47」をめぐって、トランプ氏がこう発言し、日本など同盟国の間に波紋を広げています。同盟国との関係を見直す可能性がにじんだ言葉です。同盟国をも標的にして高関税で威嚇し、高関税で世界経済を混乱に陥れているトランプ氏。経済に無知なのか、それとも、別の野望があるのか。
「もうアメリカに頼るのはいい加減にしてくれ」。トランプ氏の今の心情はこんなところなのかもしれません。同盟国はじめ各国は、意識転換、思考転換を急ぐべきでしょう。特に、敗戦後80年間、アメリカのコントロール下に甘んじてきてしまった日本人です。自分の頭で自考し、自分の足で立ち、自分たちの力で経済を担い、自分たちの力で安全保障体制を構築する。こうした転換がもはや不可欠です。米軍基地が日本に存在するという異常な状態も変えていかなければならないと私は考えます。つまり日米同盟の再構築です。
こうした状況、環境に転換できて初めて、日本は自立した独立国家だと言えるのではないでしょうか。戦後80年の今年、図らずもトランプ氏がもたらしたといえる千載一遇のチャンスが到来していると、私は捉えています。(2025年3月)