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【疑う力・創る力】「責任ある積極財政」より「知恵で生む政策」を(岡田 豊)

「今こそ、『責任ある積極財政 元年』の幕開けです」。10月5日、衆院本会議。所信表明演説で高市早苗首相がこう声をあげると、議場から拍手が沸き起こりました。責任ある積極財政。高市政権のキャッチフレーズの1つであるこの言葉に引っかかっています。

日本の財政は先進国などにおいて最悪です。日本国債の格付けは下がり続けてきました。現在、長期金利は上昇傾向にあります。「財政破綻状況に入りつつある」(野党幹部)という厳しい指摘も出ています。

「リフレ政策をやめるべきだ」。9月、米トランプ政権の番頭であるベッセント財務長官が高市政権にこう要求しました。異例の“警告”です。日本の積極財政や金融緩和が、金利上昇や過度な円安を招き、アメリカの経済・財政にも悪影響を与えると懸念しているのです。アメリカの財政状況も悪化していることを示唆しています。

「トランプ政権は高市政権とうまくいっていない」(金融当局関係筋)。日本の財政政策も日米関係のトゲになっているということでしょうか。

日米首脳会談で高市首相はトランプ大統領のことをファーストネームで「ドナルド」と呼びます。しかし、トランプ大統領は「サナエ」「タカイチ」ではなく、「日本の首相」などと言います。日本は対米重視の姿勢を見せてきましたが、「今のトランプ政権は日本を軽んじている」(エコノミスト)という見方が出ています。

「財政規律の弛緩が『円安』を招いているのである」。一般財団法人日本総合研究所会長の寺島実郎氏は、著書『歴史の条理に立つ勇気と構想』(岩波新書)の中で高市政権の財政政策をめぐり、こう厳しく指摘しました。そして物価高の要因について、円安が招いた輸入インフレだと説明しています。

モラルのない財政出動は国民にマイナスになります。日本の財政悪化の現状を鑑みるに、「責任ある」という言葉と「積極財政」という言葉は、簡単には両立しないでしょう。仮に責任やモラルが伴っていたとしても、積極財政にどこまで耐えられるのかという疑問があるからです。

財政は政策の根幹です。しかし、財政に依存し切った政策は、思考の停止と言わざるを得ません。積極財政を前面にうたう前に、政策の知恵を生み出すよう思考転換する時期に来ているのだろうと私は考えます。思考を止めずに、新しい政策を自考して生み出すということです。まずは、自らの思考が止まっていないかどうか、考えるところから始めたいところです。

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