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【疑う力・創る力】国の〝姿〟が変わり始めた 「国会軽視」と「思考停止」

私たちが暮らす日本という国の性格、形が変わり始めたことに、みなさん、お気付きでしょうか。問題意識を持ち、多様な情報を収集して見極め、自考しながら、現状の本質を認識したいところです。
 
7月25日に閉幕した特別国会では政府提出の64法案すべてが成立しました。ただ、生活経済に直接届く法案が少ないことは意外です。国民の生活苦が低減される見通しや、日本の国力低下の流れを反転させると実感できる法はなかなか見つかりません。今国会をめぐる評価は近年にない厳しい内容が多いと実感します。
 
「国会軽視」「付託の放棄」「独善的なふるまい」「数の横暴」。こんな文字も新聞紙面に並べられています。政府・与党が議論の時間を十分費やすことなく、強引に押し通した面があったことは否めません。「力こそ正義」を振りかざす大国の影響も受けています。心配しているのは、政権や国会に関わる人たちの思考が停滞したり、止まったりしていないか、ということです。
 
改正皇室典範。「旧宮家の男系男子を皇族の養子として迎える」という仕組みが導入されました。これについて、永田町の関係者は私にこう指摘します。「A氏(自民党の有力政治家)が、かつての藤原家の摂関政治のように、皇室に影響力を行使しようと意図された」。こんな説明は政府からありません。こうした意図が実際に行使される状況になれば、皇室と政治の関係は変質します。A氏の家系を記すウェブサイトには次のように書かれています。「A家に伝わるところによると大化の改新で活躍した藤原鎌足の血筋を引き、藤原一族の流れをくんでいるといわれている」。
 
国旗損壊処罰法。日本の国旗を傷つける行為を禁じ、刑事罰を科すように変わりました。日の丸への気持ちが少し遠くなったような気がします。本来は、罰則で強いるのではなく、国旗を自然に大切にしたくなるような国や社会に変えていくことが優先だと考えます。この法は表現の自由を奪う影響力があると認識しておきたいのです。

1989年、アメリカで国旗をめぐって最高裁の判断が示されました。「抗議デモでの国旗焼却は憲法が保障する表現の自由に当たり、刑事罰を科すことは違憲」という歴史的な判決です。国旗を燃やして抗議することが表現の自由として認められたのです。しかし、アメリカはトランプ政権になって国旗損壊への事実上の取り締まりを強化しようとしています。
 
4月。防衛装備移転三原則の改定を閣議決定。戦闘機や護衛艦、ミサイルなど殺傷能力がある武器の輸出を全面的に解禁しました。高市首相は「時代が変わった」と言いますが、日本は人殺しを手伝う国に変わったと私はとらえています。50年前、三木内閣は武器輸出を全面禁止にしました。当時の宮沢喜一外相は「わが国は兵器を輸出してカネを稼ぐほど落ちぶれてはいない」と言いました。宮沢さんの言葉を借りれば、 日本はおちぶれたのです。
 
日本が堅持してきた「非核3原則」を見直す議論の必要性について、政権内から発言が出てきました。世界情勢を踏まえてのことなのでしょうが、平和国家として、思考が止まっていないか、懸念しています。
 
私に特定のイデオロギーはなく、支持する政党もありません。個々の政策や法律を是々非々で見極めるようにしています。それを踏まえた上で一つ。「右だ、左だ」「保守だ、革新だ、リベラルだ」などと、古い時代の単純なカテゴリーで物事を分類していると、本質は見えず、時代はとらえきれません。これまでのやり方に飲み込まれず、目と心を研ぎ澄まし、政権をチェックし、世界を俯瞰し、社会を創り直すというリテラシーを市民一人ひとりが育んでいきたいものです。

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